2008年5月8日木曜日

初代 iMac 発売時に送られた一通のメール


1998年5月6日に発表、8月15日に米国発売されており、iMacも10年の歴史を刻もうとしてます。

ご存じの通り、iMacはデザインとコンセプトの素晴らしさから大変な人気でした。

私の記憶では、アップル ジャパンが iMac発売に関するメールをティーザー広告として送信していました。そして日本での発売日、8月29日のメールですが、とても興奮して読んだのを覚えています。このメールだけは捨てずに残してましたので、以下転載します。

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iMacへ期待を寄せてくださる皆さまへ

本日、アップルコンピュータ株式会社は全国で一斉にiMacを販売開始しました。皆さまからは、iMacへの高い期待を寄せていただき、誠にありがとうございます。

iMacは、アップルコンピュータの経営理念を結集した最もシンボリックな製品です。また、アップルの経営理念の結集であるとともに、アップルのビジネスパートナーの皆さまとの経営理念の一致、ユーザの皆さまの期待、この3つがiMacに象徴されているのだと思っています。つまり、iMacは新しいパラダイムの象徴なのです。

グローバルな時代と言われて久しいです。企業は、従来の枠組みの中で規制に守られ、グループ間での連携やトップダウンによる事業の推進といった方法で競争力を高めるだけでは、世界的な競争を乗り越えていけない段階にきています。これまでのような、横並びの競争の中で周りを見ながら走り、そこから一歩抜け出すことだけを考えていれば良かった時代は終わりました。自分のあり方を主張し、他と違う自分なりの戦い方を明確に持っていなければ戦えないということに、企業も、そして個人も気づいています。ビッグバンを迎えて大きく変化を迫られている金融業界もしかり、横並びの競争によって、独自性を失っている一部コンピュータ業界もしかりです。

国際的な競争に勝つために必要なのは、グローバルスタンダードの考え方です。アップルは、グローバルスタンダートに基づいた理念、すなわち「Think global, Act global」というスローガンを掲げ、この1年間実行してきました。グローバルな考え方を持つと同時に、グローバルスタンダードを理解し、フェアで、誰からも分かりやすい自分なりの戦い方をしていくことが、いま、必要だと考えます。技術、商品開発、製造・物流、販売、サポートさらに広告宣伝に至るまで、グローバルに競争できる力をつけていかなければなりません。アップルコンピュータは、今、その大きなチャレンジに向かって、全力をあげて取り組んでいます。

ユーザの皆さまから求められる質の高い販売、サポートを実現するのみならず、製造物流においても、グローバルな枠組みで今までにないスピードを実現し、在庫管理の質を上げていきます。国内での製造拠点と倉庫を統合し、毎日シンガポールから空輸することによって国際版のBTRモデルを、アップルコンピュータは初めて実現します。

メーカ希望小売価格17万8千円は戦略的な価格設定です。ここにも、「Think global, Act global」の精神が生きているのです。われわれは、すべてのビジネスモデルにおいて、グローバルスタンダードを取り入れていきます。価格については政治や経済の環境が決めた換算レートだけでなく、ビジネスの面からのグローバルスタンダードを考慮し、$1,299は17万8千円であると考えました。そのグローバルスタンダードの実現は、アップルとビジネスパートナーの皆さまのインフラの革新によってもたらされたものなのです。また、17万8千円という価格設定にはもう一つの強いメッセージが含まれています。それは、アップルの成長戦略に対する強いコミットメント、新たな市場を切り開くという意志のあらわれです。

アップルコンピュータがこれまで新しい市場を創造することができた理由は、個人のイノベーティブな才能を発揮できるような企業文化があったからだと考えます。個人の能力を発揮し、その成果を評価する企業文化が、新しい市場を創造するような製品を生み出してきました。「Apple II」、「Macintosh」の誕生、DTP市場の創出、これらはアップルの企業文化の象徴でした。アップルがこの1年掲げてきた世界共通のメッセージ「Think different.」の意味は、まず、このアップルの企業文化とユーザの皆さまが求めるものを再認識することでした。「世界を変えると本当に信じたものが世界を変えてきている」ように、将来を予見し、グローバルスタンダードを先取りし、個人をもっとエンパワーし、新しいコンピュータとのライフスタイルを創出したい。そのリーダーシップをとっていくのは、他の誰でもない、アップルなんだとという意志を再確認し、情熱を高めてきたのです。この企業理念と情熱の結集、これがiMacの誕生をもたらしました。

iMacは商品を超えた、新しいコンピュータパラダイムのスタートでもあります。私たちが提案するMacintoshの世界は、個人の才能を発揮するための道具となることを最初から目指しているのです。個人をエンパワーする、個人のライフをエンリッチするために貢献していきます。このようなMacintoshの役割を強く認識し、その世界を大きく発展させていくことが、アップルの使命だと考えています。個人の能力がいきいきと発揮されることで、企業がエンパワーされ、さらに社会全体へも活気を与えていくことを願います。

さあ、新しいパラダイム、新しい世界を体験しましょう。今日から始まる、アップルコンピュータの新たなチャレンジにご期待いただきたいと思います。

1998年8月29日

アップルコンピュータ株式会社
代表取締役社長
原田 永幸

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当時は感動的でしたが、今読むと感慨深いものがあります。

「個人をエンパワーする、個人のライフをエンリッチするために貢献していきます。」という言葉はまさに今アップル社で実現されているような気がします。