2008年2月5日火曜日

ジョブズのようにプレゼンテーションを行う(全訳)

ジョブズの魅力のうち、プレゼンは切っても切れないですよね。

スティーブ・ジョブズ のプレゼン、その10のフレームワークとは?
BusinessWeekの Carmine Gallo (追記: 書籍『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の著者)が書いた記事 Deliver a Presentation like Steve Jobs の全訳です。

     *     *     *

今年の MacWorld はアップル CEO スティーブ・ジョブズにより幕を開けたが、彼のプレゼンは更にスキルを上げていた。多くの演者が単に情報を伝えるのに対し、ジョブズは奮起させる。数年前に読者がコメントしたように、彼はステーキと同時に焼く音や匂いを売っている。(* the steak and the sizzle = モノ自体ではなく、お客が魅力をもつもの と言う意)

私は彼の最新のプレゼンを分析し、聴衆を感嘆させる10の要素を見つけた。ジョブズが長年をかけて技術を磨いていたことを心に留めて欲しい。私は前のコラム(ジョブズの素晴らしいプレゼン)、また私の新刊でMacWorldの基調講演を分析してみた。依然として、彼が苦もなくプレゼンをしているかに見える迄に到達する方法を再び詳しく説明する。


1. テーマを示す
"There is something in the air today." という言葉で Job sは MacWorld を始めた。そうやって彼はプレゼンのテーマを示し、超薄型の MacBook Air のようなキーとなる製品のヒントを出す。

全てのプレゼンにはテーマが必要だが、あなたは最初にそれを示さない。去年、ジョブズは”今日、アップルは電話を再発明する"と伝えた。一度テーマを決めたら、プレゼン中に数回テーマを伝えよう。


2. 意気込みを表す

ジョブズはコンピュータ・デザインに熱意を表す。彼はプレゼン中、「驚くべき」「凄い」「クール」のような言葉を使う。iPhoneの新しいロケーション機能をデモした時には「無茶苦茶便利だ。」と。多くの演者はプレゼンに粋を加える余地がある。

忘れないで欲しいことは、聴衆は驚きたいのであって、眠りたいわけではないこと。次回にプレゼンを作成もしくは伝えるとき、あなた自身の個性を吹き込むことを考えて欲しい。あなたが製品の特徴を素晴らしいと思うのなら、そう言おう。多くの演者はプレゼンモードになって、面白い話を削るべきだと考えてしまう。あなた自身に製品やサービスへの熱意がないのなら、聴衆に期待しても無駄だ。


3. アウトラインを示す

ジョブズは「今日話したいことが4つあります。はじめに・・・」と言ってプレゼンのアウトラインを伝えた。ジョブズは口頭とトランジションを使って明確に話題を切り替えた。例えば、iPhoneの新機能を説明した後、「iPhoneは立ち止まらない。もっと、もっと、もっと良くしていきます。これが今日紹介する2つ目の話です。3つ目はiTunesについてです。」リストを作り、聴衆に途中でどの部分を話しているか示そう。


4. 数字に意味を持たせる

ジョブズは、400万台のiPhoneを販売したと単に言うだけでなく、「毎日2万台のiPhoneが売れている計算になる。」と付け加えた。ジョブズはさらに「市場全体でどうか?」と続け、米国スマートフォン市場を分析し、アップルのシェアを印象的な数字として紹介した。さらにジョブズはアップルのシェアが続く3競合の合計と同じであることを示した。背景をもった数字でなければあまり意味をなさない。聴衆に点を繋げさせよう。 (*connect the dots = ジョブズのスピーチより)


5. 記憶に残る瞬間を作る

聴衆だれもが話題にするような瞬間。ジョブズの全てのプレゼンには一つの山場がある。今年の基調講演だとMacBook Airの紹介だ。どれだけ薄いか、ジョブズは封筒に入ることを示した。

ジョブズはマニラ封筒を開け、皆に見えるようにラップトップを取り出し、喝采を浴びた。あなたのプレゼンで記憶に残る瞬間はどこですか?そこを意識して、作り上げよう。


6. 視覚的なスライドを創る

多くの演者がデータやテキストやチャートでスライドを埋めるのに対して、ジョブズはそうしない。ごく僅かなテキストしかない。大部分のスライドはシンプルで、一つのイメージしか示さない。例えば「今日話したいことの一つ目は・・・」という彼のフレーズでは、数字の1というスライドだった。

そう、数字だけ。ジョブズがiPhoneのような特殊な製品について話すとき、聴衆には製品の画像1枚だけだ。テキストを出すときは、画像の右横に3つか4つの単語でできた短い文で示している。時にスライドに画像が無く、"There is something in the air."のように示す。講演ではより視覚的な画像で表現する傾向にある。優れた縁者は要点を少なく、画像を大きくしている。


7. ショーとして伝える

ジョブズのプレゼンには、起伏、主旋律と一時的転調がある。簡単な紹介をする代わりにショーを見せて以来、ジョブズはビデオクリップやデモ、そしてゲストとの競演を取り入れている。先日の基調講演ではFox CEO、Jim GianopulosやIntel CEO、Paul Otelliniが話した。マルチメディアを取り入れたり、製品デモや、他の人に少し話させることによって、あなたのプレゼンを強化しよう。


8. 小さな事に動揺しない

周到な準備にも関わらず、基調講演で上手くいかないかもしれない。ジョブズがウェブサイトの画像を表示しようとしたが、できなかった。ジョブズは微笑んで「ん〜、今日はFlickrが写真を表示しないようだ。」と言い、今紹介した新機能をまとめた。それだけ。たいした事ではない。(*That's it. It was no big deal. =これもジョブズのスピーチから?)ちょっとした問題で演者が混乱することがある。小さな事で動揺しないで。楽しもう。動揺しないかぎり、ほとんどの人は覚えてない。


9. メリットを売り込む

多くの演者は製品機能を売り込もうとするが、ジョブズはメリットを売り込む。iTunes ムービーレンタルの紹介で、ジョブズは「映画を顧客に配信するより良い方法だと思う。」と言った。ジョブズはメリットを説明して、「人々が音楽を所有することを望んだので、我々は音楽のレンタルをやらなかった。あなたは好きな曲を人生で数千回も聴くでしょう。しかし、映画は数回です。つまりレンタルが優れているのです。安くて、HDDの容量も取らないから。」

聴衆は常に「私にとってのメリットは?」と自問している。その質問に答えよう。彼らに推測させないで。全てのサービス、機能、製品のメリットを明確に伝えよう。


10. リハーサル、リハーサル、リハーサル

ジョブズも何時間ものリハーサルなしでは、ビデオクリップやデモ、外部の演者などの複雑なプレゼンを上手くはできない。私はアップル社員から、ジョブズが長時間にもわたって声を出しリハーサルをしていると聞いた。何ごともタダでは手に入らない。MacWorldのプレゼンで、彼の言葉がスライドの画像やテキストと完璧にシンクロするのをみれば、リハーサルしているのが分かる。

ジョブズが新しいiTunes ムービーレンタルで配信する映画の例をあげるとき、話すと同時にその映画のポスターが表示された。プレゼン全ては調整済み。スティーブ・ジョブズのプレゼンが苦もなくみえるのは、リハーサルしてるからだ。


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いろいろ参考になることが多いです。最も知識もセンスもいらないはずの 10. リハーサルさえ十分に行うことは大変ですよね。

また10.のなかで、ジョブズが全て記憶しているかのように書かれてますが、実際にはステージからジョブズだけに見えるモニター数台が置いてあるのではないのでしょうか? 次のスライドが出てるとか。ご存じの方、教えてください。
*ikeiさんのコメントより、下記画像が参考に。
2つのモニタに、上下2枚のスライドが映ってるようですね。


また、いくつかジョブズの卒業式スピーチに引っかけたみたいですね。"connect the dots" と "That's it. It was no big deal."

また冒頭のシズルを売れの "the stake and the sizzle" というのは、ホイラーの法則―ステーキを売るなシズルを売れ! というセールスの古典(1937年初版とか)からですね。これも個人的には connect the dots かも。

*2/6追記
ikeiさんのコメントより、モニタ画像を追加。
heitaさんのコメントより、taken for grantedの訳を訂正。
’07WWDC版: ジョブズの素晴らしいプレゼンをエントリ


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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
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Carmine Gallo

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 スティーブ・ジョブズ
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 林 信行