2011年6月27日月曜日

本:『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』は「Stay hungry, Stay foolish」の続編かもしれない


素晴らしい本です。

スティーブ・ジョブズのプレゼンを分析、その極意を紹介して大ヒットした書籍『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』。その続編となる『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則』を日経BP社からいただき読了しました。

前作ではプレゼンに特化していましたが、今回はイノベーションです。イノベーションとは何か? 本書では次のように定義されています。
イノベーションとはものごとの新しい進め方で、よい方向に変化をもたらすもの
つまり会社や組織でない個人でも行うことができるものです。自分の生活や仕事にイノベーションをおこす法則。


この本を素晴らしいといった理由は3つ。


ジョブズならどうする?

iPodやiPhone、iPadを創りだしたスティーブ・ジョブズが人々の生活を大きく変えた革新者、イノベーターであることは疑いの余地がないところ。

スティーブ・ジョブズ、その他のイノベーターと呼ばれる人達はどんなビジョンを持ち、どう考えたのか。彼らの言動から考察、実際に我々が活用できる法則に抽出したのがこの本です。

副題となっている7つの法則。これは言い換えると キャリア、ビジョン、考え方、顧客、デザイン、体験、ストーリーについての法則です。何かを始める時、迷った時に指針となる法則です。記事中にイノベーターが同じ法則で成功する例が数多く挙げられていて非常に共感を覚えます。



著者カーマイン・ガロ

世に溢れているジョブズに関する記事ですが、著者のカーマイン・ガロが書いたものは群を抜いて素晴らしく、かつ面白いのです。以下はカーマイン・ガロの記事を和訳した当ブログ記事です。

» ジョブズの素晴らしいプレゼン | トブ iPhone (2007基調講演)
» ジョブズのようにプレゼンテーションを行う(全訳) | トブ iPhone (2008基調講演)

最近 iPhoneアプリを開発者名で購入することが増えましたが、アップル本、ジョブズ本も著者で選べば外すことが少ないのは間違いありません。そういう意味でも カーマイン・ガロ氏の本書はおすすめです。


参考文献とその内容

参考文献、これがまた凄い。本文の引用元や参考として、巻末に12ページ、約250ほどの本、記事、YouTubeなどの情報が掲載されています。

先に書いたようにジョブズ記事は氾濫しつつあります。簡単に手に入るジョブズの名言(迷言も?)を引っ張ってきて、あとは著者が得意とする分野の話に繋げるようなビジネス本も散見しますが、この本は本当によく調べてあると思います。


本や文献を多く読めば素晴らしい内容になるというわけではありません。しかし、ある事柄や人物を評価し抽出するうえで質が高い多くの情報が必要なのは間違いないでしょう。


「Stay hungry, Stay foolish」の後

最後に。ジョブズが2005年にスタンフォード大学式で行ったスピーチ は数多くの大人にも共感を与えました。あのスピーチで人生が変わったという人もいます。

ジョブズは これから社会に出る若者に向けて「ハングリーであれ、愚直であれ」という言葉を贈りました。本書でいう 法則1「大好きなことをする」、つまりキャリアについての心掛けを伝えるスピーチであったと思います。


スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』は、人生を通してやりたいことをみつけた後、実現し成功を収めるために どういうビジョンを持つべきか、人々にどうメッセージを伝えるかについても書かれています。

ジョブズが卒業式スピーチの続編として、社会人に同様のスピーチを行うとしたら、本書に書かれているような内容が盛り込まれるような気がします。