2020年6月28日日曜日

電気ケトルを温度調節付きに買い替えたら最高に便利だった(機種選択の理由と感想)

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先日、温度調整付ケトルを購入しました。


それまではラッセルホブスの電気ケトルを使っていました。
6年前に購入した電気ケトルでとても便利でしたが、温度調節機能付きが出始め気になっていました。



温度調節機能付きドリップケトルから絞り込み理由

情報収集して購入候補になったものに 山善の電気ケトル がありました。

で、最終的にアイリスオーヤマを選択したのは操作面でした。
プリセット温度が3つ(70℃, 90℃, 100℃)がシンプルで便利そうだったから。

アイリスオーヤマ。3種のプリセットに5度ごとの調節。


一方、山善のはプリセットが6種類と多く、さらにアイリスオーヤマが70℃、75℃、80℃などと5度ずつの温度調節に対し、山善は1度ずつの調節。

山善の温度調節。1度ずつ。プリセット6種。


できることが多いのは山善ですが、個人的には1度単位での温度設定をするメリットより操作回数が少なくて済むメリットを選択しました。


温調付電気ケトルを実際に使ってみた感想

やはり便利です。これまで飲み頃の温度にするために、少し早めに止めたり、沸騰したお湯にお水を入れて冷ましたりしていましたが、その必要がなくなりました。

さらに上記を行ったところで温度は一定ではなかったので、常に同じ温度のお湯が用意されるのは想像していた以上にストレスフリーでした。


さらに飲み物と、その状況ごとに個人的に最適な温度設定が分かるのも気に入ってます。
毎朝飲むコーヒーでは、コーヒーお勧めの90℃ではなく、この時期は70℃くらいのほうが目覚ましに丁度よかったり。


これから電気ケトルの購入を考えている人には、是非とも温度調節機能付きを検討してみてほしいと思いました。




2020年6月25日木曜日

本『なぜジョブズはすしとそばが好きか』発売、日経xTECHの連載記事が書籍化





書籍「なぜジョブズはすしとそばが好きか」が6月15日に出版されています。

この本は、日経xTECHで連載されていた『技術者のカフェタイム:食文化とハイテク』をベースに再構成された書籍です。


スティーブ・ジョブズがすしとそばが好きだったのは有名です。

当ブログでもジョブズと日本の食についてはいくつか記事を書いてきました。Evernoteと伊藤園の「お〜いお茶」などの関係も非常に興味深いものがあったのですが、この本では書籍タイトルを含め、日本の食文化とテクノロジーをどのように描いてるのか非常に興味深いところです。

早速注文したので、週末に読んでみたいと思います。





ジョブズが10貫も食べたらしいトロ

刺身そば(Café Macs)



2020年6月20日土曜日

Macのスピーカーにサブウーファーを追加してみた #Genelec




Mac用にサブウーファーを追加してみました。

購入したのはスピーカーと同システムで「Genelec F One」。
2月末から4ヵ月ほど使ってみました。



スピーカー「Genelec G Two」購入までの話はこちらに。
👉 Macに最適なデスクライト、スピーカーを購入した #Artemide #Genelec


サブウーファーと再生周波数音域
Genelec「モニター・セットアップ・ガイド」では、Genelecでは85Hzより上をモニタースピーカーが、85Hzより下をサブウーファーが担当すると書かれています。


ちなみに音の高さと目安も同資料から。
40~160Hzが低域。代表的な楽器の最低音の目安として、ギターが80Hzで、バスチューバが45Hz、コントラバス40Hz、コンサート・グランドピアノ29Hz、大型パイプオルガン16Hzと書かれています。



iMacとの再生周波数音域の比較
ちなみに使っている 2017年の iMac 5K 本体のスピーカーの音を確認してみました。
再生に使ってみたのは次のサイトです。

👉 The Ultimate Bass Test | Ultra Low Frequency Range Test
[使い方] リンク先の「The Test File」を押すと、音声ファイルをダウンロードしたあと、10Hz〜200Hzまでの音を再生します。低音から高音になるので、低音からやり直したい場合は「Cmd-R」で再スタートできます。

iMac本体スピーカーでは、50Hz前あたりから再生され、60Hz過ぎあたりでしっかり聞こえる感じです。一方「Genelec F One」では25Hzあたりで再生され、30Hz過ぎあたりでしっかり聞こえる感じです。Genelecのサイトでは「35-85Hz」と記載されています。


サブウーファーは実用的か
圧倒的に映画向きだけど、音楽でも一部効果的。

まず映画やドラマ。
アクション映画の大音量とかはもちろん、奮えるような低音で雰囲気を表す表現時に効果的。小さな音でしっかりと低音を出したい場合にも。

一例だと「tv+」のオープニングロゴでのサウンド。スピーカー「Genelec G Two」単体と聴き比べても、奮えるような低音の表現はサブウーファーでないと難しいようです。

tv+のドラマは画質も音質もよいので、iMac 5Kとよいスピーカーで観るのにオススメ。


続いて音楽。
映画館の充実したシステムで聴ける映画と違って、一般的な音楽では重低音のある音響システムを意識することは少ないためか、サブウーファーを加えると違った体感になる音楽というのは限られると思います。

最近話題の音楽では、先日のグラミー賞で主要部門を独占したビリー・アイリッシュの低音が特徴的。



「bury a friend」公式PVの1:18過ぎからの低音はかなり強烈。他の曲でもかなり重低音が効いています。

以上の経験から、PC/Macで映画やドラマをよい音で楽しみたい人にオススメです。
音楽でも重低音が効いた楽曲を好む場合、もしくは好みのアーティストが意図的に低音を使っている場合にはオススメだと思いました。


Mac接続と使用機器の略図

最後に現在の使用状況は上のとおりです。
次はUSB DACの更新かな。当面はそのままの予定ですけど。


Amazonリンク。注)品切れで凄いプレミア価格だったりします。
   


関連URL
ラブリーサマーちゃん × GENELEC 「自宅に最適なモニター&スピーカーの設置方法」とは?(後編) - YouTube
Macに最適なデスクライト、スピーカーを購入した #Artemide #Genelec | トブ iPhone
Mac 用 USB-DAC、ヘッドホン、ヘッドホンスタンドを購入してみた(予算10万円) | トブ iPhone


2020年6月12日金曜日

ジョブズの Think different ミーティングの字幕付き動画




数々の素晴らしい広告で知られるアップル。
その中でも必ず上位にあがるのが「Think different」キャンペーンです。

ジョブズが社内で初披露したときのプレゼンを字幕動画にしました。


の前に......
当時のアップルの状況
1997年2月にNeXTをアップルに売却したジョブズは、アメリオCEO更迭により7月には実質トップに。

当時のアップルは身売り先を探すほど深刻な現金不足で社外・社内的にも問題山積でしたが、ジョブズは 8月の Macworld で Microsoft への議決権のない株式売却を発表、キャッシュフローの問題を乗り越えます。


そして社外・社内的にもアップルの変化を告げるべく、ジョブズはこのキャンペーンを打ち出します。


Think different ミーティング
1997年9月。実質トップになって僅か2ヵ月。
アップル史上に残るブランド・マーケティングを社内で説明します。
約15分の日本語字幕付きの動画です。(字幕は記事最後にも掲載)



👉 Steve Jobs Museum - YouTube
👉 


字幕内容
(*字幕での読みやすさを優先して訳しています。)

おはようございます。
昨夜は3時まで この広告を仕上げていました。


あとで見てもらうので感想を聞かせてください。
私がアップルに戻って2ヵ月ほど一生懸命働いてきました。
やろうとしているのは大げさなことではなくて基本に戻るということです。
偉大な製品、偉大なマーケティング、偉大な流通という基本に。
アップルには偉大な部分がありますが、いくらか基本から離れてしまっていると思います。

そこで私たちは製品ラインから始めました。
数年前の製品ロードマップを見ると、この多くは意味がありませんでした。
多すぎて、フォーカスされておらず、製品ロードマップの70%を削除しました。
数週間で製品ラインが分からなくなりました。
この機種が何で、何に向いてるか、顧客と話してもお互い理解できませんでした。
なので、製品ラインはよりシンプルに、よりよくなるでしょう。
そして、信じられないほど素晴らしい新しいものがいくつか出てきています。
さらに30%の宝石にもっと集中して、新しいものを加えることができました。

製品がとても楽しみですし、作るべき製品について今までと違った考え方ができています。
そして、エンジニアリングチームは信じられないほど興奮しています。
会議をしていたのですが、彼らは興奮して1mも飛び上がりました。
私たちが何をしているのか理解してくれたからです。彼らは戦略にも興奮していました。

同様に、私たちは流通の革新にも遅れていたと思います。
例を挙げると、製造ラインには2, 3ヶ月分の在庫があって、流通にも同量の在庫があるので、顧客の欲しいものを5, 6ヶ月前から推測する必要があります。
私たちはそれほど賢くはありません。

そこで、私たちはシンプルにして在庫を減らそうとしています。
顧客の望みが分かれば最短で対応できます。
これらは私たちがやっていくことの始まりに過ぎません。
流通の分野で最高のものに追いつくだけではなくて
実際には革新を起こし、数ヶ月後には最先端にいると思います。
流通と製造の面でとても楽しみにしています。


それがマーケティングの側面にもつながっています。
私にとってマーケティングとは価値観です。



非常に複雑で、非常に騒がしい世界なので
私たちのことをよく知ってもらう機会はありません。どの会社もです。
だから、私たちが知ってほしいことを明確にする必要があります。
現在、アップルは幸運にも世界で指折りのブランドで、
ナイキ、ディズニー、コーク、ソニーのように、
国内だけではなく、世界で最も偉大な会社です。

しかし、偉大なブランドであってもその活力を維持するためには投資とケアが必要です。
アップルのブランドは明らかにここ数年放置されていたので復活させる必要があります。
そのために伝えるべきなのは、速度やフィードではなく、MIPSやMHzではなく、なぜWindowsよりも優れているか、でもありません。
乳業は20年間、牛乳が体に良いと信じ込ませようとしてきました。
それは嘘ですが、彼らはとにかく努力した。
「got milk?(牛乳ある?)」広告を試したところ、下がっていた売上は上がりました。
「got milk?」は製品についてではなく、製品がないことに焦点を当てています。

しかし、世界で最も優れたマーケティングはナイキです。
ナイキが売ってるのは日用品で、靴ですよ。
でもナイキからは他の靴メーカーとは異なる何かを感じる。
ナイキは、製品や、リーボックのエアソールより優れていることを話しません。
ナイキは広告で何をしているのか。彼らは偉大な選手と、偉大な競技を称えています。
それが彼らが誰で、何者かということなのです。


アップルは広告に大金を費やしている。みんな知らないと思うけど。
私がここに来たとき、アップルは代理店23社から、4年掛けて1社を選ぶところでした。
それを吹っ飛ばしてシャイアット・デイ社に決めました。幸いにも数年前に一緒に仕事をした広告代理店です。
専門家から過去最高の広告に選ばれた「1984」など、受賞した広告を一緒に作った会社です。

2ヵ月前から仕事を始めて、私たちが自問したのは、次のことでした。
顧客が知りたいのは、Appleとは何者で、何を支持し、この世界にどう適合するのか。
私たちの目的は、人々が仕事をするための箱を作ることではありません。
(箱を作ることも)あるケースでは、ほとんどの人よりも上手くできます。
しかし、アップルはそれ以上のものを目指しています。

Appleの中心となる価値観は、情熱を持った人々が 世界をよりよく方向に変えることができることだと考えます。
私たちはそんな人々や あなたたちと仕事をする機会を得ました。
ソフトウェア開発者や顧客と様々な方法で実現してきました。
私たちは、人々がこの世界を良くできると信じています。
そして、世界を変えられると思うほどクレージーな人こそが、本当に世界を変えることができると信じています。

そこで、数年ぶりのブランド・キャンペーンでは、この価値観に立ち返ることにしました。
市場は10年前とは違っていて、Appleも変わっています。
製品と流通戦略は全く違う。それは理解しています。
しかし、中心となる価値観は変わるべきではありません。
Appleが信じる中心となるものは、今のAppleが意味することと同じです。
ですから私たちはこれを伝える方法を見つけたかったのです。
そして、私たちが手にしたものに、私は非常に感動しています。
これは世界を変えた人々を称えています。
生きている人もいれば、そうでない人もいます。
でも、生きててコンピューターを使ったとしたら、それはMacだったでしょう。


キャンペーンのテーマはthink different です。
異なる考えを持ち、この世界を前進させる人々を称えています。
それが私たちの使命であり、この会社の魂です。
これを進めていきます。
皆さんに共感して貰えたらと思います。


(60秒CM「Crazy Ones」)
クレージーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。
四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。
彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。
彼らの言葉に心を打たれる人がいる。反対する人も、称賛する人もけなす人もいる。

しかし、彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。
彼らはクレージーと言われるが、私たちは天才だと思う。
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。


これが公開されます。
これが私たちであり、支持するものです。
どうです?
よかった。

一部の人たちは、私たちが優れたプラグアンドプレイについて語らないことを批判するでしょう。
しかし、Appleが何者で、世界にどう貢献するのかを知ってもらうために(このキャンペーンが)優れた働きをすると思います。

このキャンペーンを詩的な方法で日曜日に始めます。
ディズニーのTV番組が再開しますが、その初回となる日曜夜に公開します。
確か7時からで、TV初公開となる「トイ・ストーリー」です。
60秒スポットCMが2回流れます。1時間に1回ずつです。
それから新聞広告を出します。TIMES、マーキュリー、エグザミナー、USAトゥデイなどです。
2週間以内に出すものを示します。
驚異的な広告です。
この広告はテレビで10月中、放映されます。
数週間に驚異的な広告を公開します。主に雑誌の裏表紙です。
驚くような看板や、巨大な壁を5つほどの主要都市で塗り替えています。

これから見てもらう前に、知っておいてほしいことは、
今の時代、彼らを広告に使うには生死に関わらず許可が必要です。
ほとんどの人が、今回お願いするまで過去、広告に出たことがなかった。
数日前にオノ・ヨーコからジョン・レノンの使用許可を得ました。信じられないほど感動的な経験でした。
生死に関わらず、彼らがAppleにそう仕向けたんだと強く感じました。
このキャンペーンができる会社は地球上には他にはないと思います。
私にとっては特別なものです。


印刷物と屋外広告のビデオテープがあるので見てください。
これは雑誌の裏表紙での広告例です。
これはタイム・ワーナーが権利者で、過去に使われたことはありません。
マーサ・グレアム、トーマス・エジソン、アルフレッド・ヒッチコック。
ビデオでは分かりませんが、このモハメド・アリの野外広告はただ驚くばかりです。
これらは2週間後に公開されます。
これはローザ・パークスです。5台のバスが5つの主要都市を回ります。
これが私達がやっている事です。

ここ数日夜、これをまとめるのに必死にでしたが、これまでで最高の仕事でした。
アップルがこれまでに行った中で最高の仕事だと思います。
広告がすべてではなく、信じられないほどエキサイティングな製品の発表も控えています。
信じられないほどエキサイティングなことが、これからの90〜120日の間に起こります。
会社を変えようとしている、この部屋にいる人、いない人に、深く感謝します。
この会社は必ず黒字化します。

今、問われているのはAppleを救えるかではないと思います。
そんなのは残念賞です。
再びAppleを素晴らしい会社にできるかどうかです。
今日はありがとう。
ーーーーー

ジョブズのブランドに関する記事
スティーブ・ジョブズ インタビュー:企業ロゴへのこだわりとポール・ランド | Steve Jobs museum
ジョブズが嫌った2つの言葉「ブランド」そして「マーケティング」 | トブ iPhone



2020年6月11日木曜日

スティーブ・ジョブズ卒業スピーチから15年、改めて字幕版を作成してみた




ジョブズの大学卒業式スピーチから15年になります。

スタンフォード大学の卒業式は2005年6月12日に行われています。
改めて日本語字幕付き動画を作成してみました。


2008年に作成した字幕動画から大幅に修正しています。
今回はスマホでも十分に読めると思います。




また卒業スピーチから5年後の後日談の記事もどうぞ。
👉 スタンフォード大学卒業スピーチの後日談「人生ははかない」 | Steve Jobs museum


関連記事:
英語字幕の確認 👉 Text of Steve Jobs' Commencement address (2005)
全地球カタログ 👉 Stay hungry, Stay foolish の出典、全地球カタログ(ホールアースカタログ)について



ジョブズの卒業式スピーチ日本語訳

世界でも有数の大学の卒業式に同席できとても光栄に思います。
実は私は大学を出ていないのでこれが最も卒業に近い体験となります。
本日は私の人生から3つの話をします。それだけです。たった3つの話です。


1つめは『点を繋げる』という話です。

私はリード大学を半年で辞めたのですが、その後18ヵ月間、同じく受講していました。
では、なぜ辞めたのか?生まれる前の話から始めます。

私の生みの母は未婚の大学生で私を養子に出すことを決めていました。
彼女は大学を出た夫婦にと強く思っており、弁護士夫婦に引き取られることが決まっていたのですが、私の生まれる直前に彼らは女の子が欲しいと考え直しました。
そして夜中にリスト待ちしていた私の両親の電話が鳴ったのです。
「予定外の子がいますが、希望されますか?」両親は「もちろん」と答えました。

のちに分かったのですが、私の母親は大学を出ておらず、父親は高校も出ていませんでした。
生みの母親はサインを拒みましたが大学に入れるという約束で折れました。
こうして私の人生はスタートしました。

17年後、大学に行くことになりましたが、何も考えず高い大学を選んだので両親の蓄えは学費に費やされました。
半年で価値を見出せなくなりました。
自分が何をしたいのか、大学がその役に立つのかも分かりませんでした。
そして私は両親の蓄えのすべてを使っている。
だから退学を決めたんです。すべてうまくいくと信じることにして。

高校の卒業アルバム
そのときは とても怖かった。でも振り返ってみると最良の決断でした。
退学した瞬間から興味のない科目の必要がなくなり、面白そうな科目を受け始めました。
すべてロマンチックとはいきませんでした。
寮がないので友だちの部屋の床で寝たり、コーラ瓶を換金して食べ物を買いました。
毎週日曜の夜は 10km歩いてお寺(ハレ・クリシュナ寺院)でご馳走にありついたりしました。あれはよかった。
そして好奇心と直感に従って得た多くのものが後に貴重な価値のあるものになったのです。一例を紹介しましょう。

リード大学は国内有数のカリグラフィー(装飾文字)教育を行っていました。
キャンパスすべてのポスターやラベルまで美しい装飾文字が施されていました。
私は退学して通常の授業の必要もなく技法を学ぶため装飾文字クラスに出ることにしました。
セリフとサンセリフ、字間の調整、素晴らしいカリグラフィーについて学びました。
それは美しく、歴史があり、芸術的に巧妙で、科学では捉えられないものでした。
そして私は夢中になりました。
私の人生に役に立ちそうにないものばかりです。

しかし10年後、最初のMacのときにすべてが思い出されました。
すべてをマックに組み込みました。
そして美しい装飾文字を持った最初のコンピューターになったのです。
あの授業に出なかったら、Macに複数の書体などは入らなかった。
WindowsはMacのコピーだからこれらを持つパソコンはなかったことになります。
退学してなければ装飾文字の授業に出ていないし、パソコンは美しい装飾文字を持たなかったでしょう。

Macintosh (1984)

もちろん、大学時代に先をみて『点を繋げる』ということは不可能でした。
しかし10年後に振り返ってみると実にはっきりしているのです。
くり返します。先をみて『点を繋げる』ことはできません。
できるのは、過去をふり返って『点を繋げる』ことだけなんです。
だから将来その点が繋がることを信じなくてはいけません。
根性、運命、人生、教条、何でもいいから信じること。
点が繋がると信じることで、心に確信が持てるのです。
普通とは違う道を歩むとしても大きな違いをもたらします。
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2つめの話は『愛と喪失』についてです。

私は幸運でした。若くして本当に好きなことを見つけました。
20歳のときに私はウォズとガレージでアップルをはじめました。
10年間懸命に働いて、2人の会社が社員4千人の20億ドル企業と成長しました。
そしてMacという最高の製品を出した1年後、私は30歳となりクビになりました。

ウォズとジョブズ
どうしたら起業した会社でクビになるのでしょうか。
会社が成長し、優秀な経営者を雇いました。1年ほどはうまくいったんです。
しかしビジョンの相違から取締役会が彼の側に立ち、30歳にして辞職したのです。

辞職はとても話題になりました。私の人生の焦点がなくなり、破滅的でした。
数ヶ月は何をしていいのか分かりませんでした。
私は起業家の地位を落とした、受けたバトンを落としたと感じました。
私はデビッド・パッカード(HP創業者)とボブ・ノイス(インテル創業者)に会って台無しにしたことを詫びようとしました。
失敗して有名になったので、シリコンバレーから去ることも考えました。

しかし少しずつ分かったのです、この仕事がまだ好きだということが。
アップルでの事件はそのことを少しも変えなかった。
拒まれても、なお好きでした。そして、また始めようと決めたのです。
そのときは分からなかったのですが、アップルをクビになったのは最良のことでした。
成功の重みが、すべてにおいて再び初心者の軽さになりました。


このことで最もクリエイティブな期間のひとつに入ることができました。
続く5年間でネクスト社とピクサー社を始め、 妻となる素晴らしい女性と恋に落ちました。
ピクサーは「トイ・ストーリー」という世界初のコンピューター・アニメーション映画をつくり、今や世界で最も成功しているアニメーション・スタジオです。
思いがけずアップルがネクストを買収し、私はアップルに戻りました。
ネクストで開発した技術は現在のアップル再生の中心です。
そしてローレンと私は素晴らしい家庭を築いています。


アップルをクビになってなければこうはならなかったと断言できます。
ひどい味の薬でしたが患者には必要だったのでしょう。
人生ではレンガで殴られるようなことが起こることがあります。
信念を失ってはいけない。私は自分のやったことを愛せたから続けてこられたんです。

皆さんも自分の好きなことを見つけなければいけない。
それは仕事も恋人でも同じです。
人生で仕事が大きなパートを占めていくでしょうが
本当に満足する唯一の方法は素晴らしいと信じる仕事をすることです。
偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたのする仕事を愛することです。

まだ見つかってないなら、探し続けること、止まらないこと。
心の問題と同じで、見つけたときは分かります。
そして素晴らしい関係のように年を重ねるごとに良くなっていきます。
だから見つかるまで探し続けること。止まってはいけません。
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3つ目は『死』についての話です。

17歳のとき、こんな文章を読みました。
「一日一日を人生最後の日として生きよう。いずれその日が本当にやって来る。」
強烈な印象を受けました。そして33年間、毎朝、鏡をみて自問自答しました。
「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか。」
NOという答えが幾日も続いたら、私は何か変える必要があると知るのです。

死を意識することは、人生において大きな決断をする価値基準となる最も大切なことです。なぜなら、ほとんどすべて外部からの期待やプライド、恥や失敗への恐れ、これらは死によって一切なくなるのです。
あなたが死を意識することが、失うことを恐れない最良の方法なのです。
あなたたちは既にありのままなのです。思うままに行動しない理由はないのです。

私は1年前にガンと診断されました。
朝7時半にスキャンしたところ、すい臓の腫瘍がはっきり写っていたのです。
私はすい臓が何かも知りませんでした。
医者は言いました。
「ほぼ間違いなく治療不能なガンで余命は3ヵ月から6ヵ月でしょう。」
主治医は家に帰って仕事を片付けるように言いました。
それは死の準備をするようにという意味の医者の言葉なのです。
つまり、子ども達に伝えるべき今後10年間のこと すべてを数ヶ月で伝えろということなのです。
家族がなるべく楽になるようにしっかり始末しなさいということなのです。
家族にさようならを告げなさいということなのです。

私は診断書を一日抱えて過ごし、夕方、生検の検査をしました。
内視鏡は、のどから胃腸に入り、すい臓からガン細胞を採取しました。
私は鎮静剤を服用していたのですがそこにいた妻は私に話してくれました。
医者達は顕微鏡で細胞を見た途端に叫びだしたそうです。
極めて希な、手術可能なすい臓ガンだと分かったからです。
私は手術を受け、今も元気です。

これまで私が最も死に直面した経験でこの先何十年かは ないことを望みます。
この経験から、私はより確信を持ってあなたたちに言えます。
死を意識することは役に立ったが、単に頭の中の概念でした。
誰も死を望みません。天国に行きたいという人さえ 死を望まない。
にも関わらず、死は我々が共有する最終地点なのです。
誰も逃れることはできないのです。
そしてそうあるべきなのです。死は生における最も優れた創造物なのだから。
それは生に変化を起こすもので、古きものを消し、新しきものへの道をつくるのです。

今、新しきは君たちです。しかし、そう遠くない未来に 君たちも古きものとなり消えていきます。
とてもドラマチックな言い方で申し訳ないですが、それはまったくの真実です。
君たちの時間は限られている。だから無駄に誰かの人生を生きないこと。
教義に捕らわれてはいけない。それは他人の考え方と共に生きるということだから。
他人の意見というノイズによって、あなた自身の内なる声、心、直感をかき消されないようにしなさい。

最も大事なことはあなたの心や直感かに従う勇気を持つことです。
それら内なる声、心、直感はどういうわけか君が本当に何になりたいのか既に知っているのです。
それ以外のものは、二の次でいい。
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私が若い頃、「全地球カタログ」という驚くべき本があって、同世代のバイブルでした。
それはステュワート・ブランドが製作しており、彼の詩的な作風で生き生きと仕上げていました。

60年代後半でパソコンもなく、すべてタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラで作っていました。
それは当時のGoogle文庫版といえるもので、理念があり、使える道具と偉大な概念で一杯でした。
ステュワートたちは「全地球カタログ」を何度か出版し、一通りやり終えると、最終号を出しました。
70年代の中頃で私は君たちと同じ年頃でした。
最終号の裏表紙は早朝の田舎道の写真でした。
冒険好きならヒッチハイクでみるだろう田舎道。

写真の下にはこんな言葉がありました。
Stay hungry, Stay foolish.(ハングリーであれ、バカであれ)
それは彼らが残した別れのメッセージでした。

Stay hungry, Stay foolish.(ハングリーであれ、バカであれ)
常に私自身がそうありたいと願っています。

そして今、卒業して新しい人生を始める君たちにそうあってほしいと願います。
Stay hungry, Stay foolish.(ハングリーであれ、バカであれ)
ご清聴有り難うございました。

Stay hungry. Stay foolish.




過去の記事一覧