スティーブ・ジョブズは、日本と関係が深いことでよく知られています。
禅に傾倒したこと、版画を少なからずコレクションしていたこと、寿司や蕎麦が好きでアップルの社食に「刺身そば」なるメニューを用意したこと。
『ジョブズの料理人』という本があります。ジョブズが週一で訪れるほどだったシリコンバレーの寿司・懐石料理店「桂月」の佐久間俊夫氏へのインタビューから作られた本です。
そして第4章には「まんじゅうを学びに日本へ行け」という項があり、ジョブズがいかに饅頭が好きで、とりわけ東京・赤坂の老舗和菓子屋「青野」を気に入っていたことが書かれています。
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今回、上記「ジョブズの料理人」を記事にしたことが切っ掛けで、赤坂青野の靑野啓樹 取締役からお話を伺うことができました。
赤坂青野の取締役、靑野啓樹氏(赤坂見附店にて) |
4, 5年前(2009〜2010?)のこと。とある人物が来店、「届け先を教えることができないが、カリフォルニアに和菓子を届けてほしい。」という依頼を受けた。相手が信頼できそうであること、前金で支払うということから、靑野さんは一度送ってみて問題がなければ受けると応対。指定の宅配便(つまり送付先は分からない)に渡すと、2日後(!)にはサンフランシスコに無事到着したとの連絡があった。それから2週間おきに、なんと半年もの間、発送していたらしい。
送付していた商品は12000円の詰め合わせで、日持ちは8日間のもの。半年の間、特別なリクエストなどはなかったらしい。
雅の彩菓(桐二段折・61個入)赤坂青野 |
青野さんは振り返って次のことを思い出したそう。
上記の件の少し前だったか、ある外国人から赤坂青野に電話があった。なんでも米国に商品を送ってほしいといってるようだったが、相手が英語でありコミュニケーションが充分取れなかったこと、そもそも海外に日持ちしない商品を送ることによるリスクもあり断ったんだとか。もしかするとジョブズ本人だったのかもしれない。
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これらの話を伺ったあと、ジョブズが来日したときに食べたものは何だったんだろうと話が盛り上がりました。そして近いものとして豆大福、一つぶ栗大福をいただきました。
左:丸ごとの栗が入る「一つぶ栗大福」、右:大納言小豆を使った「豆大福」 |
「1個の栗を丸ごと餡の代わりに入れ込む工夫」は青野考案とか |
ジョブズは桂月で用意されたデザート用まんじゅうに「皮が少し固い」「あんが、いまひとつ」と文句をつけていたらしく、「青野へ板前を修業に出したらいい」というくらいお気に入りだったとか。当時のジョブズを想像しつつ美味しくいただきました。
赤坂青野 赤坂見附店
所在地:東京都港区赤坂3-1-11 (赤坂見附駅のビックカメラ横)
営業時間:月~金 9:30~21:00、土 9:30~19:00、日祝祭 10:00~17:00
電話:03-3586-0007
Web:http://www.akasaka-aono.com/
*店舗は他に 赤坂本店、大丸東京店が
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おまけ:赤坂青野の名物赤坂もち
『ジョブズの料理人』を読んだ直後のころ、アマゾンでも「赤坂青野」を購入できることをしり頼んだのが「赤坂もち」でした。
10個入りを注文。中は個別包装になっています。
1個ずつ風呂敷包み式にしたのも赤坂青野が最初とか |
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