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2016年5月22日日曜日

帝国ホテル中央玄関:巨匠フランク・ロイド・ライトの歴史的建築を明治村でみてきた(愛知・犬山市)

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帝国ホテル フランク・ロイド・ライト

「近代建築の三大巨匠」の一人、フランク・ロイド・ライト。グッゲンハイム美術館や落水荘などで知られています。


以前の記事「旧山邑家住宅」に続いて、今回は愛知県の明治村にある「帝国ホテル中央玄関」をみてきました。


博物館明治村
明治村は、愛知県犬山市にある明治をテーマにした野外博物館。
100万平方メートルという広い敷地に、当時の建造物を移築展示しています。(12の重要文化財など)

村内地図|総合案内板|博物館明治村
今回は北口に駐車。最初に訪れたのが帝国ホテルでした。


帝国ホテル中央玄関
「帝国ホテル中央玄関」は、フランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテル 旧本館(1923〜1967)の中央玄関部分を移築したもの。


帝国ホテル フランク・ロイド・ライト

下は当時の写真。
帝国ホテル - Wikipedia より
落成披露宴が1923年9月1日の「関東大震災」の日に予定されており、大震災に関わらず帝国ホテルはほぼ無傷であったとか。歴史を感じます。

帝国ホテル フランク・ロイド・ライト
旧山邑家住宅」と同じく、ふんだんに使用されている宇都宮の大谷石と、装飾されたテラコッタなど、フランク・ロイド・ライトらしく特徴的。



中に入って2階部分から正面玄関入口を撮影したもの。
帝国ホテル フランク・ロイド・ライト
玄関側2階部分はカフェに。当時の飲み物などが提供されていました。


続いて、玄関ロビー部分を2階側面から。
帝国ホテル フランク・ロイド・ライト

当時のテーブルと、イスなど。


明治村の風景
他の明治村の建築に。これだけの歴史的建築が揃っているので映画やドラマ、朝ドラなどで多数使われています。最近では「あさが来た」でも。

聖ザビエル天主堂(京都・河原町)

宗教大学 車寄(東京・巣鴨)

明治村2丁目、レンガ通り

三重県庁舎(重要文化財)

他にも北里研究所や、明治天皇・皇太后の御料車、当時の紡績機など沢山の見所がありました。


閉館前の帝国ホテル中央玄関
16時すぎ。帰る前にライトアップで雰囲気が変わった帝国ホテルをチェックして帰宅しました。

帝国ホテル フランク・ロイド・ライト


正面入口部分。


以上、フランク・ロイド・ライト設計の「帝国ホテル中央玄関」でした。
明治村は想像以上に広く、全部見るなら朝からじっくり一日はほしいところでした。


 
博物館明治村
所在地:愛知県犬山市字内山1番地
TEL :0568-67-0314
開村時間・各種料金・アクセスなど » 総合案内板|博物館明治村



帝国ホテル関連の記事
旧山邑邸(ヨドコウ迎賓館)
巨匠フランク・ロイド・ライト設計の別荘「旧山邑家住宅」に行ってきた(兵庫県芦屋市)
日本で唯一そのまま現存するライト建築。


落水荘:LEGO Architecture でフランク・ロイド・ライトの傑作住宅を楽しむ
F・L・ライトの名作をLEGOで。


[谷口吉郎・谷口吉生]展で谷口吉生氏本人による展示解説を聴いてきた(金沢市民芸術村) 
博物館明治村を創設し、初代館長となったのが谷口吉郎



2016年5月19日木曜日

根津美術館:国宝 燕子花図を観賞、日本庭園とNEZU CAFÉ(東京・南青山)



根津美術館と国宝 燕子花図屏風

4月中旬に東京・南青山にある「根津美術館」に行ってきました。

「鉄道王」とよばれた根津嘉一郎が1941年に開館した、歴史のある美術館です。

根津美術館と国宝 燕子花図屏風

特別展「国宝 燕子花図屏風」が始まったばかりのころでした。


敷地内に入ると印象的なアプローチ。
根津美術館のアプローチ
根津美術館のアプローチ

表参道の都会的な街並みから一変、洗練された和の様相に。気持ちが高まります。


現在の美術館は2009年に改築されたもの。設計は隈研吾氏で、2010年の毎日芸術賞にも選ばれています。» 隈研吾 - Wikipedia

美術館の中に。
NEZU CAFÉ
階段の踊り場からの写真。


庭園からの光が建物に映え、非常に美しい。

根津美術館

つぎに、特別展「国宝 燕子花図屏風」を観賞。

毎年、燕子花の時期(4月中旬−5月中旬)に公開されています。
尾形光琳 ー 燕子花図屏風(右隻) 根津美術館 - Wikipedia
実物を前に、しばし呆然。目に焼き付けてきました。1つ目の目的達成。


根津美術館の日本庭園
根津美術館の魅力の一つが庭園。17,000平方メートルにおよぶ広さとか。

こちらも根津嘉一郎による造園。当日の目的の一つでした。

庭園の入口すぐ。「不許葷酒入山門」の文字。


燕子花。僅かに時期が早く、まだ咲いてませんでした。

時期を選んで行ける人は是非公式サイトや公式Twitterで確認を。
» 庭園|根津美術館



かなりの広さに多少の疲れが出てきます。

で、次の目的地に。階段をあがると。

NEZU CAFÉ


NEZU CAFÉ でミートパイを
根津美術館に行ったら是非立ち寄りたいと思っていたカフェ。

美術館併設のカフェは素敵な場所が多いのですが、ここは格別でした。

NEZU CAFÉ
庭園をぐるりと見渡しながら寛げるカフェ。
天井からは、和紙を通した柔らかい光が。

写真のとおり、窓際の席数は多くありません。
当日はお昼を避けて14時過ぎごろ。それでも少し待つことに。


NEZU CAFÉ ミートパイ&サラダ

お店の人にオススメされた「ミートパイ&サラダ シングル」を。

NEZU CAFÉ ミートパイ
ミートパイ&サラダ シングル(¥800)

食後のコーヒー。カップが素敵でした。
NEZU CAFÉ
燕子花カップなカプチーノ(¥700)

見逃していた庭園の残りを散策。

阿吽な狛犬
謎な両脇の像
他にも至る所に意味ありげな骨董が置かれていたり、鳥居があったり。


帰りのアプローチ。
根津美術館のアプローチ
夜のライトアップも素敵だとか

尾形光琳の燕子花図、鉄道王による日本庭園とカフェ。

庭園とカフェだけでも都会の喧噪を忘れて過ごすことができる素敵な美術館でした。
 
» 根津美術館  » 利用案内|根津美術館



他の美しい庭園のある美術館

土門拳記念館
日本初の写真美術館『土門拳記念館』30周年記念展に行ってきた(山形県酒田市)
山形。この時は燕子花がタイミングよく。


大山崎山荘美術館:昭和初期の山荘と庭園に安藤忠雄建築が調和する美術館(京都府・天王山)
ここは新旧建築併存型。

MIHO MUSEUM
MIHO MUSEUM:ルーヴル美術館ピラミッドの建築家による桃源郷をイメージした美術館(滋賀県・信楽)
桜の時期もおすすめ。


2015年12月9日水曜日

月下紅白梅図が見事、杉本博司の展覧会「趣味と芸術-味占郷 | 今昔三部作」(千葉市美術館)



杉本博司 趣味と芸術-味占郷 / 今昔三部作

千葉市美術館で現代芸術家 杉本博司の展覧会をみてきました。

開館20周年記念展で、タイトルは「趣味と芸術 - 味占郷 / 今昔三部作」。


「杉本博司 今昔三部作」
杉本博司 今昔三部作
《劇場》テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ
今回の展覧会は2本建て。まず杉本博司の代表作となる《ジオラマ》《劇場》《海景》の3つの写真シリーズから。


展示室 1に入ると《海景》シリーズが5枚。
右から《カリブ海、ジャマイカ》、《日本海、隠岐》、
《エーゲ海、ビリオン》、《ボーデン湖、ユトビル》
空と海を半々に撮影した白黒写真。

1980年のカリブ海にはじまるシリーズ。人類が初めてみたものと全く変わらず現在ある景色は海である、というコンセプト写真。撮影には敢えて8x10の大判写真が使われています。

微細なディテールに入り込むには、どうしても旧式大判カメラが作り出す事の出来る無限の階調が必要なのだ。すべてを0と1に還元してしまうデジタル技術には、神の宿る隙はない
(「美術手帖 2014年 07月号」特集より)


展示室 2では《劇場》シリーズが5枚。
右から、《メトロポリタンLA、ロサンゼルス》、《アル・リンリン、バラブー》、
《テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ》
スクリーンが白飛びした劇場内の写真。

映画1本分の光を長時間露光して撮影された写真。杉本写真には時間を意識させるものが多くあります。《陰鬱礼讃》シリーズでは、和蝋燭1本の炎を長時間露光したものも。対象がもつ光の記録。

中央の真っ白なスクリーンは分かるとして、少ない光で精密に劇場細部を映し出す技術力にも圧倒。



展示室 3では《ジオラマ》シリーズが3点。
左から、《ハイエナ・ジャッカル・ハゲタカ》、《オリンピック雨林》
こちらも非常に高精細な白黒写真。タイトルの通り、対象はジオラマ。

撮影されることで失われる遠近感を逆に利用した写真。最初にMoMAに購入されたのもこのシリーズだとか。


個人的にはあまり食指が動かない《ジオラマ》シリーズながら、好きな《建築》シリーズとの対称性を考えると興味深いものが。《建築》シリーズでは、実在のモダニズム建築を敢えて無限遠の2倍という焦点距離で撮影することでディテールをボカし、建築家の頭の中のイメージを表現したのだとか。

《サヴォア邸》 Hiroshi Sugimoto より

どうしても見に行けない!って人はこちらをどうぞ。




「杉本博司 趣味と芸術 ー 味占郷」


雑誌「婦人画報」2013年10月号より連載の「謎の割烹 味占郷」で、杉本博司が各界の著名人をもてなすために、ゲストにふさわしい掛軸と置物を選んだ床飾りを再現した展示。

1: 鶴澤清治(義太夫節の三味線方)と宮沢りえ、
2: ソニア パーク(スタイリスト)と鈴木京香、と続く。
下には当日の料理と器も。

26の床のしつらえは全て杉本博司によるもの。NY時代に古美術商としても人気を博したという目利き 杉本博司の面目躍如。


平安時代や鎌倉時代の年代物が多いかと思うと、昭和のものがあったり、単なるガラクタ的なものが置かれていたり。組み合わせの妙が面白い。


今回の展覧会を通して、最も気に入ったのが次の展示。

《月下紅白梅図》杉本博司 2014年
国宝「紅白梅図屏風」を撮影、プラチナプリントで「月夜の梅」に見立てたというもの。

国宝「紅白梅図屏風」尾形光琳 MOA美術館より

さらに杉本「紅白梅図」をよくみると、屏風の下に梅花と花びら数片。


杉本博司好きはご存じ、須田悦弘の作品「梅」。これらの作品がよい味を出してます。


「趣味と芸術」では沢山の植物が使われているようでいて、すべてが須田作品。

「古銅 大升(法隆寺伝来)」「泰山木: 花」「木彫彩色」

器の展示。新石器時代の石皿、桃山時代の酒杯、さらに現代のぐいのみ、青磁器も。

「不用品高価買入」
以上、「趣味と芸術 ー 味占郷」でした。

どうしても見に行けない!って人はこちらをどうぞ。


最後に千葉市美術館へのリンク。12/23(水・祝)までです。
» 杉本博司 趣味と芸術−味占郷/今昔三部作|2015年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館

「趣味と芸術 ー 味占郷」は京都・細見美術館に巡回です。2016年4月16日(土)〜6月19日(日) » 春画展 他|今後の展覧会 - 京都 細見美術館


*     *     *

今回の展覧会では写真と骨董でしたが、芸術家 杉本博司は写真に留まらず、直島の護王神社などの建築、人形浄瑠璃や狂言など幅広く活躍中。発言や書き物をみるにつけ、ますます気になるアーティストです。




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