今週4月19日(木)発売の本『アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか』を日経BP社よりいただき読了しました。日経デザイン編集による書籍です。
人々は(デザインを)ベニア版、つまりハリボテのことだと思っている。デザイナーは(パソコンの基板が詰まった箱を渡され)「かっこよく見せろ!」と言われる。でも、我々のデザインとはそういうものじゃないと考えている。これは “どう見えるか” とか “どう感じるか” の話ではなく、“どう機能するか” の話なんだ。(本「スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉」より)
ジョブズの有名な引用を持ち出すまでもなく、アップルを語る上でデザインは不可欠のものです。初代iMacがボンダイブルーのトランスルーセントであること、初代iPodが白とクリアのポリカーボネートであることは狭義の見た目だけのデザインではなく、アップルがiMacやiPodで人々に提供したかった生活スタイルからデザインされています。
* * *
以下、日経デザインの本『アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか』を撮影した写真、その内容などを簡単に紹介。
左上は電源ボタン、右上はボリュームボタン |
最近のiPod nanoなどの表面に採用されている、陽極酸化処理というアルミニウムの表面処理。本では7つの工程として説明されていました。技術を持つ工場関係者でさえ「今の日本のメーカーならば、ここまですることは絶対にない」とつぶやいたそう。
アルミニウム陽極酸化処理の工程 |
Apple Remote |
またこの本では、渋いところで「Apple Remote」が取りあげられていて切断画像が掲載されていました。Apple Remote本体は1つのアルミニウムの塊で一切の継ぎ目がなく、著書「デザインの骨格 」などで知られるプロダクトデザイナーの山中俊治氏が「魔法のようなアセンブリーだ」というのも頷けます。
1998 The Year of Thinking different |
この記事では、1984年当時の株主向け冊子と1997年当時の社員向け冊子のデザインが比較されていました。どちらもモノクロの写真と余白を充分に使ったもので、ジョブズの一貫性がみてとれます。またスカリー時代の1987年の年次報告書も掲載されていて興味深い比較となっていました。
ジョブズ復帰後のアップル・デザイン。その最重要人物がジョナサン・アイブ。この本には初代iMacが成功を納めた直後1999年のインタビューが15ページにわたって掲載されていました。特にフリーランスから転身したアイブが、インハウスデザイナーとしてのメリットを語る部分には惹かれました。
この本には6つのコラムと4つのショートインタビューがあります。前述のプロダクトデザイナー山中俊治氏やチームラボの猪子寿之氏。他にもiPhoneのフリック入力開発に関わられた増井俊之さん(著者「インターフェイスの街角」)の記事なども読めます。
以上、簡単に本『アップルのデザイン』を紹介してみました。手にとって初めて気付いたのですが、カバーはiPhoneのデザインだったのですね。こういう表紙からだけでは気付かない驚きと心地よさ。アップルのデザインと共通するところがあるのかも知れません。
是非アップルのデザインが好きな人は書店で手に取ってみて下さい。