千葉市美術館で現代芸術家 杉本博司の展覧会をみてきました。
開館20周年記念展で、タイトルは「
趣味と芸術 - 味占郷 / 今昔三部作」。
「杉本博司 今昔三部作」
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《劇場》テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ |
今回の展覧会は2本建て。まず杉本博司の代表作となる《ジオラマ》《劇場》《海景》の3つの写真シリーズから。
展示室 1に入ると《海景》シリーズが5枚。
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右から《カリブ海、ジャマイカ》、《日本海、隠岐》、
《エーゲ海、ビリオン》、《ボーデン湖、ユトビル》 |
空と海を半々に撮影した白黒写真。
1980年のカリブ海にはじまるシリーズ。人類が初めてみたものと全く変わらず現在ある景色は海である、というコンセプト写真。撮影には敢えて8x10の大判写真が使われています。
「微細なディテールに入り込むには、どうしても旧式大判カメラが作り出す事の出来る無限の階調が必要なのだ。すべてを0と1に還元してしまうデジタル技術には、神の宿る隙はない」
(「美術手帖 2014年 07月号」特集より)
展示室 2では《劇場》シリーズが5枚。
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右から、《メトロポリタンLA、ロサンゼルス》、《アル・リンリン、バラブー》、
《テアトロ・デイ・ロッツィ、シエナ》 |
スクリーンが白飛びした劇場内の写真。
映画1本分の光を長時間露光して撮影された写真。杉本写真には時間を意識させるものが多くあります。《陰鬱礼讃》シリーズでは、和蝋燭1本の炎を長時間露光したものも。対象がもつ光の記録。
中央の真っ白なスクリーンは分かるとして、少ない光で精密に劇場細部を映し出す技術力にも圧倒。
展示室 3では《ジオラマ》シリーズが3点。
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左から、《ハイエナ・ジャッカル・ハゲタカ》、《オリンピック雨林》 |
こちらも非常に高精細な白黒写真。タイトルの通り、対象はジオラマ。
撮影されることで失われる遠近感を逆に利用した写真。最初にMoMAに購入されたのもこのシリーズだとか。
個人的にはあまり食指が動かない《ジオラマ》シリーズながら、好きな《建築》シリーズとの対称性を考えると興味深いものが。《建築》シリーズでは、実在のモダニズム建築を敢えて無限遠の2倍という焦点距離で撮影することでディテールをボカし、建築家の頭の中のイメージを表現したのだとか。
どうしても見に行けない!って人はこちらをどうぞ。
「杉本博司 趣味と芸術 ー 味占郷」
雑誌「
婦人画報」2013年10月号より連載の「
謎の割烹 味占郷」で、杉本博司が各界の著名人をもてなすために、ゲストにふさわしい掛軸と置物を選んだ床飾りを再現した展示。
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1: 鶴澤清治(義太夫節の三味線方)と宮沢りえ、
2: ソニア パーク(スタイリスト)と鈴木京香、と続く。
下には当日の料理と器も。 |
26の床のしつらえは全て杉本博司によるもの。NY時代に古美術商としても人気を博したという目利き 杉本博司の面目躍如。
平安時代や鎌倉時代の年代物が多いかと思うと、昭和のものがあったり、単なるガラクタ的なものが置かれていたり。組み合わせの妙が面白い。
今回の展覧会を通して、最も気に入ったのが次の展示。
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《月下紅白梅図》杉本博司 2014年 |
国宝「紅白梅図屏風」を撮影、プラチナプリントで「月夜の梅」に見立てたというもの。
さらに杉本「紅白梅図」をよくみると、屏風の下に梅花と花びら数片。
杉本博司好きはご存じ、須田悦弘の作品「梅」。これらの作品がよい味を出してます。
「趣味と芸術」では沢山の植物が使われているようでいて、すべてが須田作品。
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「古銅 大升(法隆寺伝来)」「泰山木: 花」「木彫彩色」 |
器の展示。新石器時代の石皿、桃山時代の酒杯、さらに現代のぐいのみ、青磁器も。
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「不用品高価買入」 |
以上、「趣味と芸術 ー 味占郷」でした。
どうしても見に行けない!って人はこちらをどうぞ。
最後に千葉市美術館へのリンク。12/23(水・祝)までです。
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杉本博司 趣味と芸術−味占郷/今昔三部作|2015年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館
「趣味と芸術 ー 味占郷」は
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今回の展覧会では写真と骨董でしたが、芸術家 杉本博司は写真に留まらず、直島の護王神社などの建築、人形浄瑠璃や狂言など幅広く活躍中。発言や書き物をみるにつけ、ますます気になるアーティストです。
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