2012年4月10日火曜日

ジョブズ前とジョブズ後のアップルの違いとは。本『僕がアップルで学んだこと(アスキー新書)』を読了

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本日4月10日発売の新書『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる』を読みました。

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そう。Steve って本当に畏れ多い存在だったんです。

著者は、ジョブズ死去について書かれたブログ記事が非常に話題になった松井博さん。

松井博さんは1992年からアップル日本法人、2002年から米国アップル本社でiPodの品質保証グループマネージャー、2004年から全Macintosh製品の品質保証部門を統括、2009年退社というアップル履歴の持ち主。

見出しはそのブログ記事からの引用。
» Steve Jobs の思い出 | まつひろのガレージライフ

 

スカリー、スピンドラー、アメリオ、ジョブズ

経歴からも分かるように、松井さんのアップル在籍時代はアップルのCEOがスカリーから、スピンドラーに変わる直前。'96年アメリオ就任とNeXT買収、'97ジョブズ再臨からアップル復活という激動時代です。

本の章立ては次の通り。
第1章 腐ったリンゴはどうやって復活したのか
第2章 アップルの成功を支える方程式
第3章 最良の職場を創る
第4章 社内政治と付き合う
第5章 上司を味方につける
第6章 己を磨く

多くの人が本書に期待する第1章と第2章

第1章ではアップルがどう変わったかを事実を踏まえながら内部からの視点で時間軸が、第2章ではジョブズ復活後にどのように変化していったのか「シンプル」「フォーカス」「コンセプト」などのキーワードで記述されています。

恐らく多くの人が本書のタイトルから期待している部分。 ジョブズ前の赤字体質だったアップルがどんな会社だったのか、社員の士気はどうだったのか。ジョブズ復帰から15年で倒産直前だったアップルが、時価総額世界一となるイノベーションはどういうものだったのか。

特にアップルは「サーフィン感覚」で、典型的な日本企業が「登山感覚」であるという部分は非常に興味深く新鮮に感じました。


元米アップル、シニアマネージャーの仕事術と人生論

第3章から第6章。著者がアップルで得た経験から、職場環境の構築と部下の接し方、さらに社内政治や上司との付き合い方、人生論などが書かれています。当初それほど期待していないタイトルでした。

しかしながら著者がアップル本社で培った仕事術、マネージング術についての指摘は多岐に渡っていて、本書を読んで付箋を貼る回数が多かったのは後半でした。チームの独裁者、アイデアの出し方など、実際に今アップルで実行されているだろうと想像することも多くありました。


最終章では、筆者による人生論とアドバイスまで語られています。少し盛り込み過ぎかな、別の本として書いて欲しかったなとも思いましたが、本書のタイトルが『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる』ということを考えると著者が伝えたかったことも理解できます。

250ページ足らずの本で一気に読める良書でした。オススメです。




本日は大谷和利さんによる本『アップルの未来 ポスト・ジョブズ時代に革新的な製品は現れるのか!?』も発売、購入済み。これから、こちらを読みます。

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