手前の低層棟と奥の8階建て高層棟。左奥が新本館 |
香川県庁舎(現在の香川県庁東館)は、雑誌 Casa BRUTUS の特集『死ぬまでに見ておくべき100の建築』で世界の建築100選としても紹介されていました。1958年、戦後間もない頃の竣工で、丹下健三初期の代表建築としても知られています。
香川県庁舎ガイドツアー
期間中、毎日開催されている1時間のツアー。参加費は500円。事前登録が必要でした。
50周年記念の冊子と参加タグ。冊子がなかなかの出来。 |
まずロビーで簡単な説明などを聴いたあとに外に。
左が高層棟、正面が低層棟 |
正面ピロティ。当時はまだピロティ型の県庁はなく、丹下は「民主主義にふさわしい県庁舎」として「直接用のない市民をも気安く導き入れる空間」を重視したんだとか。
確かに当時の県庁舎をみると、敷地に入ってアプローチがあって、重厚な階段を何段か上ってようやく県庁舎、といった権威を感じさせる建築が多かったよう。
香川県庁舎では、丹下が尊敬したコルビュジエの「近代建築の五原則」の影響が色濃くでています。
現在は使われていない階段と石灯籠。奥にはベンチ。 |
またツアーによると、ピロティの柱は正面からは細くみえる直方体になっていたり、雨樋が柱の中に仕込まれていたりデザイン的な配慮がなされています。
1階ロビー「和敬清寂」 |
による絵。上野駅の壁画「自由」の人ですね。県庁の建築家を誰に依頼するか検討した際に、知事に丹下を推薦したのが猪熊弦一郎だったとか。
そしてこの中央壁画部分が「センターコアシステム」と呼ばれる香川県庁舎の特徴的な部分でもあります。
3階の高層階(上)と低層棟(下) |
2階からみた南庭 |
また窓の一番下がガラスになっていてロビーと庭が続いているように。築50年という時代を感じさせない快適さは、こういうところから来るんでしょう。
一般非公開の屋上へ
エレベーターで上がり、香川県庁舎屋上へは階段で。
屋上を気に入った金子県知事は、予定になかった屋上喫茶をつくります。竣工から半年で10万人が訪れたそうです。冊子には当時のエレベーターガールの話も。
このベランダ部分には降りないよう指示が |
最後に中央のちょっと変わった建物に。こちらも後期コルビュジエの影響がみえると解説が。階段の幾何学的なデザインなどは、ロンシャン礼拝堂ぽいですね。
階段を降ります。赤いのは換気口。階によって黄色とかポップな印象。
8階フロアだったかな。今は使用されていないフロア。50年前の設計ながら仕切りがない自由な空間。今は配線などのためにフロアは少し持ち上げられています。
当時から使われている家具類。
そして低層階にある「県庁ホール」に。
椅子はインテリアデザイナー剣持勇氏のデザイン。
外から見た低層階部分。青い色の部分は引き戸で大きく開放することが。
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最後、ロビーでアンケートを書いて1時間の建築ツアーは終了でした。
50年前の建築なので今観て新鮮と感じることはそう多くありません。でも当時の状況や時代背景を考えると画期的な歴史的建築であることが理解できました。
1時間でたった500円の素晴らしいツアー企画でした。
最後に新しい本館へ
ツアー後、東館を一回りして本館へ。2000年に落成した22階建ての新しい本館も丹下事務所。
ちなみに織田裕二 主演映画「県庁の星 」(2006年)のロケ地でもあるとか。
今の本館22階・展望室から。東館の高層棟、低層棟がなんとか見えました。
同じく展望室から。正面は瀬戸内。中央に女木島。右にうっすら男木島、ビルの裏に豊島。左奥にうっっすら直島も見えました。
こちらはやや東、屋島がみえます。源平で出てくる屋島です。初めてみたときにホントに屋根の形!と驚いたのを覚えています。
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以上、丹下健三生誕100周年:建築ツアー「香川県庁舎ガイドツアー」でした。こちらも9月23日(月・祝)までです。
他にも「瀬戸内建築ツアー 丹下健三コース」「瀬戸内建築ツアー 家統治建築コース」「香川県地区ツアー」があるので興味がある人はこちらをどうぞ。
» ガイドと巡る建築ツアー|丹下健三生誕100周年プロジェクト
芸術新潮 2013年 08月号「磯崎新が読み解く 知られざる丹下健三」
参考URL:丹下健三 - Wikipedia
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