故スティーブ・ジョブズが日本の文化の影響を受けたことはよく知られています。蕎麦や寿司を好んだり、禅宗に傾倒したり。
書籍「ジョブズの料理人」第4章に次の様にあります。
スティーブは版画の前で足を止めて、「日本に行くたびにこの版画家の作品を何点か買ってくるんだ」とうれしそうに話していた。
カリフォルニアの日本料理店「桂月」に飾ってあった絵。書籍では「坂道の一枚か、柿を描いた一枚か」とあります。恐らく「昭和の広重」などと呼ばれた新版画家・川瀬巴水の作品だったのではないでしょうか。
ジョブズと新版画、川瀬巴水
雑誌「Macworld」創刊号の表紙 |
MacPaintマニュアルと橋口五葉「髪梳ける女」 |
今年6月出版の書籍「最後の版元 浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎」では新版画のプロデューサー渡邊庄三郎が主人公として描かれ、エピローグではジョブズが何度も来店し多くの巴水作品を購入していたことが書かれていました。
川瀬巴水に関連する書籍
今年は川瀬巴水の生誕130年ということもあり、関連の書籍、展覧会など、ジョブズが愛した川瀬巴水を知る機会が多くあります。
最近、前述の6月出版の書籍「最後の版元」と3月出版の「川瀬巴水作品集」を購入しました。特に「川瀬巴水作品集」はこれまでの巴水作品集と比べて、約半額で300点ほどの作品を観賞することができる良書でした。
左: 芝増上寺、中央: 錦帯橋乃春宵、右: 平泉金色堂 |
川瀬巴水の展覧会とNHK日曜美術館
現在、二つの生誕130年展覧会が行われているようです。興味がある人はぜひ。
まずは巡回の「生誕130年 川瀬巴水展」。現在は千葉市美術館で。
» 生誕130年 川瀬巴水展 —郷愁の日本風景|2013年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館
以下巡回予定は次の様に。大阪で是非見たいなと。
2月26日(水)~3月10日(月) 大阪髙島屋7階グランドホール
3月19日(水)~3月31日(月) 横浜髙島屋ギャラリー(8階)
4月26日(土)~6月8日(日) 山口県立萩美術館・浦上記念館
9月25日(水)~10月6日(月) 京都髙島屋グランドホール<7階>
2015年1月2日(金)~1月12日(月祝) 日本橋髙島屋8階ホール
また大田区立郷土博物館でも。
» 大田区ホームページ:大田区立郷土博物館特別展「川瀬巴水―生誕130年記念―」のご案内
同時に「NHK 日曜美術館」でも12月15日放映で取りあげられました。
» 郷愁に染まる風景 ~版画家 川瀬巴水~|NHK 日曜美術館
録画してみていたのですが、番組オープニングは銀座の画廊からなんとジョブズの話へ。銀座の街角を映しながらも、中央にアップルを持ってきていたのは意図的なのかなと。
* * *
以上、ジョブズが愛した川瀬巴水でした。ジョブズ担当だったとされる元兜屋画廊店員の松岡春夫氏には一度お話を伺ってみたいものです。
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